僕たちはもうあまり、餡子の詰まった最中と番茶を喫することはない。

例えば「美しい国、日本」というものが、餡子の詰まった最中と番茶だとする。縁側などでそれらを食すのだ。それは現代では触れる機会の少なくなってしまった日本的な体験であり、自国なのにどこか別の国の文化に触れているかのように感じられる。
それほど、日本人は日本的なものから遠く離れてしまった。今更言うまでもなく何十年も前から。日本人はもう、番茶やりコーヒーで喫する。

「美しい日本」を守り続ける意味はなんだろうかと問う。
グローバル化が進み、世界が繋がるとこで国の文化は他国の文化とミックスして急激に変化している。歴史を紐解けば、これまでもそうしたミックスで変化し続けていたのだと分かる。

「美しい日本を取り戻そう」というのは単なる懐古主義・愛国主義に過ぎない。
極端にいえば、もしも「アメリカで生まれたiPhoneは日本的ではないから使ってはいけない」という法律ができたら、大半の人が日本から出ていくだろう。
この急激な変化を続ける国際社会において「美しい日本を取り戻そう」とする必要はあるのか。

体制が国民に対し、日本的な生活を強要することはできない。ぼくたちには、番茶かコーヒーどちらを飲むか選択する自由がある。
もちろんお花見や夏祭り、神社仏閣など、日本的なものは守り続けなければならない。それらを保存し、時代を経て共有しながら、「日本」と名付けられているこの列島に生きる「日本人」とは何なのかを問わなければならない。そうやって歴史のページはめくられていく。

僕たちはもうあまり、餡子の詰まった最中と番茶を喫することはない。
その代わり、スタバでドリップコーヒーのShortとチョコレートスコーンをオーダーし、なにを見るでもなくロードサイドを走る車を眺めながらchill outする。それが今を生きる僕たちの、嘘偽りない姿だ。

横浜聡子監督最新作『俳優 亀岡拓次』感想

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横浜聡子監督は、いつだって必ず愛すべき人物像を描く。

最新作『俳優 亀岡拓次』の主人公 亀岡拓次も、好きにならないわけがない。

 

任されるのは目立たない脇役ばかりだが、演技の実力は折り紙つきで引っ張りだこの名優。

素晴らしい仕事をしていて、同業者から尊敬の念を獲得しているのだが、全然偉ぶる様子もない。華やかな業界で活躍しているにも関わらず、なんでもない一般人のような振舞いだ。

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飲みに行く費用高すぎワロエナイ もう居酒屋には闇市みたいになってほしい件

居酒屋に1軒行くと、だいたい1人4千円はかかる。

「もう一軒!」と2軒目に行くと8千円だ。

はっきりいって高い。

このご時世、1回飲みに行くだけでこの値段は高いと僕は感じる。僕みたいな貧乏人はね。

会社や友人などとのコミュニケーション・コストは必要不可欠だが、ここまで高いと飲みに行きたくても行く機会が少なくなるのではないか。

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図書館で学生たちが勉強している光景を見て思うこと

どこの図書館に行っても、学生がたくさんいるものだ。一生懸命勉強していて感心する。

一方で、学生の勉強でテーブルが占められることによって、図書館の本来の機能である「読書」が隅に追いやられているのではないかと思っている。

もちろん、学生が勉強することにケチを付けるなんてとんでもない。学生が気持よく勉強できる場を奪ってはいけない。

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市役所まるごとアウガへぶち込めばいいじゃん? という最も簡単で効果的な方法が1ミリも考慮されないワケ

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昨日(2/16)から青森県内を賑わせているのが、アウガ全面公共化のニュースだ。

www.sankei.com

www.nikkeibp.co.jp

 

アウガをめぐっては、2001年のオープンから現在まで青森県内はもとより、まちづくりの事例として全国的にも注目され続けてきた(もちろん失敗事例として)。

それがまた今回のニュースで大きく展開が動いた。

アウガの一部始終について、その複雑な権利関係などを含め、僕はすべてを理解しているわけではないが、仕事の関係で2年ほど青森市民だったことがある自分としても思うところを書いてみた。

 

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本を読まなくても、本棚を眺めているだけで少しは知識がつく

結論から言うと、本棚を眺めて、気になった本をパラパラとめくるだけでも、知識は身に付いていくと思う。なぜか。

 

本の背表紙は、新聞の見出しと同じだ。

新聞の見出しは記事の内容を的確にまとめたキャッチコピーのようなもので、見出しを見るだけでも記事内容をある程度理解できるように書かれている。

実際、ヤフーニュースの見出しをパラパラと見るだけでも、ニュースをまったく見ない人に比べると政治経済の知識が少しは身に付いていくという話をどこかで聞いた。

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青森県内景気は「緩やかに持ち直している」ってずっと言い続けてるけどホンマかいな?

2月8日、日銀青森支店の「県内金融経済概況」が発表された。

 

日本銀行青森支店 BOJ Aomori Branch since 1946.11.1

 

この調査はほぼ毎月、日本銀行青森支店から公表される県内景況調査の結果である。

内容は、「概況」として400字ほどの総括コメントと、業界業種ごとの主要なコメント、あとは経済指標として数字が並んでいるというものだ。

新聞などでもよく記事になるので、見かけたことがある方も多いと思われる。

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