県内求人倍率0.97倍 過去最高でも全く楽観できない理由 青森

2016年1月29日(金)付の東奥日報で「有効求人倍率過去最高、平均0.97倍/15年県内」という見出しの記事が載った。

以下、同記事を引用しながらツッコミを入れてみる。

 

景気は持ち直している?

0.9倍台は8ヶ月連続。同労働局(著者注:青森労働局)は雇用情勢の改善傾向が維持されていると見ている。

なるほど。行政や日銀青森支店も最近は「景気は持ち直している 」としきりに言ってますからね。実感ゼロですけど。

 

安定の最下位水準

全国は1.27倍で前月比0.02㌽上昇。本県の全国順位は北海道と並ぶ43位で、前月の44位から一つ戻した。新規求人数は8692人で前年同月比7%(572人)増となり、8ヶ月連続増加し、12月としては過去最高だった。

改善傾向といっても、全国的に見れば安定のビリケツを走っている。

ちなみに青森県人はこれを特に不名誉なこととも思わなくなってきている。青森県は色々な統計データで全国最下位を走るのに慣れっこで、低空飛行が当たり前だと思っている。

求人倍率については比率と数字の上だけの話であって、根本的には何一つ処遇改善されていないといっていいだろう。

 

求人増の業種について

新規求人数を産業別に見ると、スーパーやコンビニの新規出店や人員補充の影響で卸売・小売業が10ヶ月連続増加し、前年同月比15.9%(209人)増の1527人。医療・福祉が同10.6%増加、宿泊・飲食サービス業も同9%増加した一方、建設業は5%(46人)減少し11ヶ月ぶりに千人を切った。

 

コンビニとは、2015年に青森県内各地に続々と新規出店したセブンイレブンのことだろう。人員補充といっても当然アルバイトのみだ。

本来であれば有効求人数として頭数に入れるものでもないだろう。そんなところにスポットをあてているにすぎない。

続くのが医療・福祉福祉については言わずもがな、定員割れで常に人不足、低賃金重労働の人気のない職場だ。これまた実質的に有効求人数として頭数に入らない。

建設業については若者離れが著しく、公共事業の減少も伴って求人減。これは仕方が無いとしか言えない…。 

 

正社員比率が低すぎる

有効求人数は2万4561人で前年同月より8.4%(1906人)増加した。12月としては過去最高。このうち正社員は8741人で前年同月を9.2%(739人)上回り、全体に占める割合は35.7%だった。

見出しの数字では「県内求人0.97倍」とあるが、正社員に限ってみると実質そのうちの35.7%しかないのだ。特段雇用情勢が改善されたようには思えない。

 

全国的にも「24年ぶりの高水準」と 言われるも…

同日、全国的にも雇用情勢は上向いているとの報道があった。

厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は1.27倍で、1991年12月以来、24年ぶりの高水準となった。

しかし、非正規雇用や派遣労働、違法な労働などが急増している昨今、もはや厚生労働省調べの有効求人倍率にはなんの意味もない。

ましてや正社員でさえ、ブラック企業での過労働、サービス残業のオンパレードだ。

 

見るべきなのは、数字だけではなく、求人内容や待遇などの肌感覚だ。

聞くべきなのは、労働行政の声ではなく、労働者の生の声だ。