本を読まなくても、本棚を眺めているだけで少しは知識がつく
結論から言うと、本棚を眺めて、気になった本をパラパラとめくるだけでも、知識は身に付いていくと思う。なぜか。
本の背表紙は、新聞の見出しと同じだ。
新聞の見出しは記事の内容を的確にまとめたキャッチコピーのようなもので、見出しを見るだけでも記事内容をある程度理解できるように書かれている。
実際、ヤフーニュースの見出しをパラパラと見るだけでも、ニュースをまったく見ない人に比べると政治経済の知識が少しは身に付いていくという話をどこかで聞いた。
本の背表紙のタイトルを眺めて、気になる本があったら帯や目次をざっと見るだけでも、その本がどういう本なのかある程度分かるし、それは新聞記事の見出しを見ることと同じことなのだと思う。
だから、本屋や図書館に行って本棚を見ていると、それだけで知識がつくような気になる。
本屋も図書館も大きければ大きいほどいい。膨大な数の本に囲まれ、「ああ、オレってなんにも知らないなあ」と膨大な情報量の前に圧倒される。あの感じが好きだったりする。
全然知識がないジャンルの本棚にいって、いろいろな世界を垣間見るのも面白い。
小さな本屋でもいい。
今、まちの書店がどんどん店を畳んでいる。出版不況だとか、読書人口が減ったとか、若者の活字離れとか、コンビニの増加にともなって雑誌が売れなくなったとか、そもそも雑誌自体売れないとか、いろいろなことを理由にあげながら閉店している。
確かに書店の経営環境は厳しいと思う。だが、小さな書店でも置いている本のセレクトにこだわりがあったら、僕なら絶対に通う。
人の本棚を眺めるのが楽しいことと同じだ。小さな書店はどこにで置いているようなベストセラーや、雑誌、コミック、軽い内容の新書などは絶対に置かないほうがいい。
ジャンプやワンピースの新刊なんて、コンビニ行ったついでに買うに決まっているし、圧倒的に来店機会が少ない書店はどうやっても勝てない。
小さな書店が来店機会を高めるただひとつの方法は、「ここに来れば自分が知らない面白い本が必ず置いてある」という信頼性を高めることだ。
例えるなら、ロックのレコードをたくさん持ってて、いろいろと教えてくれる近所の大学生の兄ちゃんのような存在になるべきなのだ。
もともと、小さな書店の店主は本が好きなはずだ。好きだから本屋をやっているはずだ(違うかもしれないが)。
その原点に立ち返り、ベストセラーなんかではなく、お客さんに本当に読んでほしい本、質のいい本を置くだけで、必ず一定のお客さんがリピーターとなって来店するはずである。
普通の書店には置いていないような本。ネットでも勧められていないような本。大型書店にあっても全然目立たないところに1冊しか在庫がないような本。
そういうあまり知られていないけどおもしろい本を勧めて欲しい。きっと本が好きな人だったら、財布の紐はゆるくなる。
なんてったって、本棚を眺めているだけで知識がついていくし、楽しいんだから。眺め甲斐がある本棚を眺めたい。